Chain〜切れない鎖〜
自分の身体を犠牲にしてまで、あたしを守ってくれた。
ボロボロで血だらけの一馬を見ると、溢れる涙が止まらなかった。


「守ってやれなかった」

一馬が言う。
青あざが出来たあたしの腕を、腫れ物に触るかのように優しく握りながら。


「ううん…あたしのせいだよ」

泣きながらそういうあたしを、一馬は再びぎゅっと抱き締めてくれた。


温かい体温と意外にも頑丈な身体。
一馬に包まれていると、怖いものなんて何もないような気がした。
世界には、あたしと一馬しかいないような錯覚に陥った。

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