Chain〜切れない鎖〜
「一馬。久しぶりに会ったんだから…」

「うるせぇ」

一馬はお父さんを見ようともせず、そう言った。
そしておもむろにあたしの手を掴み、ベッドから下ろす。
身体中が痛んだが、こんな状況下で「痛い」だなんて言えなかった。

一馬はそのままぐいぐいあたしの手を引き、部屋を後にした。


とっさの勢いで、何が何だか分からなかった。
だから、一馬に引っ張られながら、一馬のお父さんにぎこちない会釈をしただけだった。
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