Chain〜切れない鎖〜
駅を出ると、あたしの家はすぐそこだった。

家に帰るといつものようにお母さんがご飯を用意してくれている。
お父さんが笑顔で「おかえり」と言ってくれる。
そんな幸せな家族の時間が待っているはずだった。



だけど一馬は…


嫌悪のこもった鋭い目でお父さんを睨んだ一馬を思い出す。

一馬は孤独な夜を過ごすのだろう。
一人でご飯を食べて、一人でテレビを見て。




「帰りたくない」

あたしはそう言って、一馬の手をぎゅっと掴んでいた。
驚いてあたしを見る一馬にそっと言った。

「一緒にいたい」

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