Chain〜切れない鎖〜
暗闇の中で切れ長の瞳があたしを見つめる。

やがて、一馬は低く切なそうに呟いた。

「これ以上誘惑すんじゃねぇ。
お前は俺をからかってんのかよ」

「違う」

「違わねぇ。
それ以上焦らすと、マジでヤるぞ」

「いいよ」


あたしの言葉で一馬はため息をついた。
あたし、これだけ本気なのに。
なのに、一馬は分かってくれない。




一馬は不機嫌そうに立ち上がって電気を点けた。
電気に照らされた一馬はやっぱりかっこよくて、毎度のことながら心臓が飛び出した。

こんな一馬があたしを好きだなんて信じられない。
それでも、あたしの唇には微かな一馬の感触が残っていた。

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