Chain〜切れない鎖〜
「それよりさぁ、今日のホームルーム、酷くない?」

「え?」

「センセ。俺の偉大な夢をみんなにバラした」

「あぁ…」

喉元まで込み上げた笑いを必死で我慢した。
あまりに苦しくて、窒息してしまいそうだった。





ことの発端は、受験を控えたあたしたちの進路希望調査だった。

音大に通いながら芸能活動をすると言い張る隼人は、進路希望欄に『月光プロダクション』だなんて書いた。

月光プロダクションは超大手のアイドル事務所。
入れるのは、神に選ばれた人だけだなんて言われている。

隼人は確かにかっこいい。
オシャレだし、センスもいい。
でも、一般市民の分際で月光プロダクションを志望するなんて、狂気の沙汰だった。

< 122 / 306 >

この作品をシェア

pagetop