Chain〜切れない鎖〜
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「駄目だって分かってるよ」

次の日、泣きそうな声で綾が言った。

派手な巻き髪は相変わらずだが、どことなく元気もない。

あたしの質問に、伏し目がちで答えた。




「彼の心は掴めない」

「…え?」

「あたしなんて見てないんだよ」

目に涙をいっぱいためて、綾はそう言った。




綾は不倫だからって割り切っていた。
「あたしが好きだったらいい」なんて馬鹿なこと言っていた。


でも、本当は寂しかったんだ。
どれだけ頑張っても相手には妻子がいる。
愛する家族がいる。
それが辛かったんだ。

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