Chain〜切れない鎖〜
「芽衣。綾ちゃんが遊びに来たわよ」

お母さんの遠慮がちの声が聞こえたと思った瞬間、部屋の扉が開いた。



一人でいい。
あたしには一人がお似合いだ。

そう思ったのに、気付いたら目の前の綾にすがりついていた。

あれだけ綾が憎いと思ったのに。




「一馬が…一馬がね…」

泣きながら話すあたしを、綾はずっと抱き締めていてくれた。
一馬とは違う、柔らかくて温かい華の体温で、少しだけ気分が楽になった。

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