Chain〜切れない鎖〜
「綾ちゃんから聞いたんだね」

人気のない廊下を歩きながら、彼は言った。
一馬より少し高めで落ち着いた声だった。


「あんな馬鹿な息子だけど…でも、一馬を許してやって欲しい。
…全て私のせいなんだ」

そう言って、一馬のお父さんはあたしに話をしてくれた。
今まであったことを洗いざらい。

静かな病棟の廊下には、お父さんの少し寂しげな声が響いていた。

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