Chain〜切れない鎖〜
「私は、もう一馬を苦しませない。
一馬は私の息子なんだから」

そう言って真っ直ぐあたしを見つめる彼の視線は、一馬そっくりだった。
あたしを守ってくれると言った一馬みたいな、決意に満ちた瞳だった。

その視線に嘘はないように思えた。





出来てしまった溝は深い。
もしかしたら、一生直らないかもしれない。

それでも、少しずつ、少しずつ埋めていけばいいんだ。

今は無理でも、いつか二人が分かり合える日が来るはず。
あたしはそう信じている。

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