Chain〜切れない鎖〜
言うと、一馬は引くかな。
あたしを嫌がるかな。

そう思いながらも口にしてしまった。


「帰りたくない」と。





一馬があたしを見て笑った気がした。

あたしを握る一馬の手に、少し力が入った気がした。

一馬を見上げると、いつもの優しい瞳であたしを見つめ返してくれた。

心臓がきゅんとなって、胸が締めつけられた。






「離さねぇ」

甘く、切なく、一馬は呟いた。

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