Chain〜切れない鎖〜
「あぁ…」


せっかく作ったのに。
徹夜して一馬のために作ったのに。


もう不良たちなんて視界に入らなかった。

あたしは無様に潰れたケーキの箱に駆け寄る。

箱の角から微かに生クリームが漏れ出していた。




「一馬のために作ったのに…」



涙がこぼれる。

一馬の喜ぶ顔が見れないと思うと、胸が張り裂けそうだった。





不良たちは、地面に座り込んで泣き崩れるあたしを笑いながら見ていた。

「一馬さんに媚びへつらうな」

なんて言って。

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