Chain〜切れない鎖〜
「大丈夫。…あたしは大丈夫」

「芽衣…」

あたしの声を聞き、あたしを見る一馬は、いつもの一馬と何も変わりは無かった。

心底ほっとする。



「一馬さん、その女…もしかして…」

「彼女」

遠慮がちに聞く幼げな金髪に向かって、一馬は躊躇なくそう答えた。






嬉しかった。

付き合っていることは自覚していたが、一馬の口から「彼女」という単語を聞くのは初めてだった。

一方通行の気持ちじゃない。
そのことを改めて確認した。



沈んでた気分が一気に舞い上がり、気付いたらにんまり笑っていた。
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