Chain〜切れない鎖〜
目の前には黙って座り込む一馬。
あたしに背を向けているが、その背中は震えている。

わざとじゃない。
襲いかかる痛みから逃れようと、必死で戦っている姿だった。



大きな手は、あたしが蹴り上げた大切な箇所を押さえている。

一馬みたいな正統派が股関を押さえて座り込む姿は見物だった。




「タマを蹴ろ」

そう言ったのは一馬なのに。

だからあたしはそれを実践しただけなのに。


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