Chain〜切れない鎖〜
そんなあたしに背を向け、

「お前には負ける」

と言って歩き出す一馬。


痛いのを我慢し、わざと背筋を伸ばす。



そのいかにも強がりな姿が愛しくて、一馬に近寄った。



にこにこ笑いながら上を見ると、綺麗な一馬の瞳と視線があった。



「おめ…次は誘惑かよ。
…マジで覚えておけよ」

悪あがきみたいに言い放つ一馬が面白くて、わざと身体をすり寄せた。





昔は遊んでいても、今はあたしだけを見てくれている。
だからあたしは信じているよ。

あたしの作った、ぐちゃぐちゃに潰れたケーキを大切そうに抱える一馬。

そんな一馬に、あたしの心はやられっぱなし。

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