Chain〜切れない鎖〜
「誕生日、祝ってもらうの初めて」

ぽつりと一馬が呟く。

「今まで、誕生日は一人で過ごした」

「なんで?」



セフレと過ごさなかったの?
という言葉が飛び出そうになったが、必死で飲み込んだ。

どうやらあたし以上に、一馬にとってその話は禁句らしい。



「…嬉しくなかった」

「え?」

「産まれてこなければ良かったと思ってた」

そう言う一馬は少しだけ寂しそうだった。



父親が医学生の時に出来た子供。
母親は一馬を産んだために他界した。

一馬は、家庭が壊れたのは自分のせいと思っていたんだね。

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