Chain〜切れない鎖〜
怖くなかった。
一馬の顔が見えるからかもしれない。


こんなに明るいのに。
まだ昼間だっていうのに。

あたしを抱き締めながら、痺れそうなキスをくれた。



「自分が嫌い」

「なんで?」

「芽衣を傷つけるから」


なんでそんなこと言うの?

一馬がいなかったら、あたし、もっと傷ついてた。


だって…



「俺、遊んでた」

「…大丈夫」



だって一馬は…



「あたしも初めてじゃない」

「…知ってる」




助けてくれたから。




あたしがあいつらにやられてたとき、あたしを守ってくれたから。







あたし、あの時からずっと惹かれていたのかもしれない。

だから、一馬が真面目になってあたしの前に現れても、本能的に分かったのかもしれない。



ただの偶然じゃない。

今となっては運命だと思うんだ。

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