Chain〜切れない鎖〜
「…っ」

やっぱり襲いかかる痛みに、必死で耐える。

それでも、いつもの痛みとは違う気がした。

もっと甘くて幸せな痛みだった。





あいつらの顔が見えそうになったから、必死で一馬を見た。


明るい光の中で見る一馬はやっぱりかっこよくて、頭がくらくらした。
うっすら汗がにじんだ首筋に、何とも言えない色気が漂っていた。

それがあまりにも愛しくて、我慢出来ずにしがみついた。



「煽ってんのかよ」

苦しそうに一馬が言う。


どうしようも出来なくて、回した手に力を込めた。



「…ふ…ふざけんな」


ふざけてない。
かなり本気。
こんな時間がずっと続いたらいいと、本気で思った。


愛しい気持ちが破裂しそうだった。

一馬の瞳を見つめ、「好き」と呟いた。

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