Chain〜切れない鎖〜
「それがどうしたの?」

素で返事したあたしを見て、一馬はますます困った顔をした。





出会った頃の一馬なら、こんな顔しない。
ただ、腕を組んで、

「うぜぇ。てめぇが首突っ込むな」

なんて言っただろう。



一馬は、変わった。
その事実があるから、あたしは心配なんてしていない。


でも、やっぱり真面目な一馬でいてほしいなんて思った。




喧嘩をしたり、暴走したり、危険なことはして欲しくなかった。

今みたいに建築家目指して勉強して、隼人たちとじゃれあう一馬でいて欲しかった。





「俺には関係ねぇ」

そう一馬は言った。

でも、その顔は苦悩で満ち溢れているようにも見えた。

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