Chain〜切れない鎖〜
「京司」

一馬が冷たく呼ぶ。

京司と呼ばれた赤髪は、びっくりして背筋を伸ばした。



「消せ」

容赦なくいい放つ一馬。
何の情けもない、冷たい声だった。




きっと一馬は分かっているんだろう。
あたしの腕につけられた煙草の痕を。

だからそう言ってくれたんだろう。



どこまでも優しい一馬の手を、思わず握っていた。






「一馬さんも吸いますか?」

京司は空気が読めないらしい。
京司を睨み付ける一馬にヘラヘラしながら煙草を差し出した。


それを取り上げ、箱ごと押し潰す一馬。
恐ろしすぎた。




不良たちは震えながら、そんな一馬を見ていた。

震えていないのはあたしだけ。
一馬を信じて、握る手に力を込めた。

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