Chain〜切れない鎖〜
メンバーが現れた瞬間、手を伸ばして触ろうとする人。
友達と抱き合って喜ぶ人。

そんな女の子を掻き分けて、一馬はあたしのだと叫びたかった。

一馬の元に走り寄って、誘拐してしまいたいと思った。





そして、ついに始まる前奏。
キレのいいギターの音。
あたしの胸まで刻まれそう。

ノリのいい隼人が飛び上がると、観客みんながジャンプした。

隼人の元気のいい歌声で会場はあっという間に最高潮に達した。




隼人はすごい。

沈んでたあたしまで元気をもらったようだった。
本当にプロになれるかもしれないと思った。





気付いたらあたしもジャンプしていた。
隣にいた、京司まで。

隼人たちのつくり出す音楽には、そんな不思議な力があった。

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