Chain〜切れない鎖〜
「一馬さん。よろしくお願いします」

そう言って鍵を渡す京司。

京司に黙って頷く一馬。



あたしには何が起こっているのか理解が出来なかった。



ただ、いつものように一馬のシャツの裾を握った。

その手をそっと握りしめる一馬。
嬉しくなって、一馬に身を寄せた。




「じゃな」

そう京司に言い残して背を向けた一馬に、京司は言った。
今までずっと言いたかったことを吐き出すように。


「華をいじめたら、一馬さんでも許さない」

一馬は少しだけ笑って手を上げた。




「いじめねぇよ」

そう言う一馬の顔が頭に思い浮かんだ。

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