Chain〜切れない鎖〜
「一馬…その子は?」


神原さんがあたしを見る。
今の一馬みたいな優しい瞳だ。

神原さんに見つめられて、自然と気持ちが落ちついた。



「彼女の芽衣です」


一馬が答える。

彼女という響きに、再び胸がきゅんとなった。
嬉しくなって、一馬のシャツを握る手に力が入った。







神原さんは黙ってあたしを見ていた。


何も言わない。

…いや、苦しくて何も言えなかったのかもしれない。


それでも、あたしを見る神原さんは嬉しそうだった。

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