Chain〜切れない鎖〜
予想以上に酷い神原さんを見て、面会は短めにした。


神原さんにとって重要なものは、思い出話でも無駄話でもない。

安静なのだから。


だからあたしたちは、すぐに部屋を去ったのだ。







「神原さんは、俺の兄貴みたいな存在だった」

病棟を歩きながら、一馬はあたしに教えてくれた。


清潔な廊下にあたしたちの足音が響く。

一馬の足取りは少し重く、疲れているようだった。

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