Chain〜切れない鎖〜
「拠り所のない俺を、あのチームに入れてくれた」

「一馬にとって、大切な人なんだね」

そう言ったあたしの手を、一馬はぎゅっと握ってくれた。



一馬の手はやっぱり温かく、心が落ちついた。


あたしの大切な一馬。
大好きな一馬。
強い強い一馬。





だけど人間、みんな完璧じゃない。

一馬だって神原さんみたいになるかもしれない。






「…いやだよ」

そう口にしていた。

絶対言わないでおこうと思ったのに。
あたしのわがままで、一馬の足を引っ張るマネだけはやめようと思っていたのに。
あたしが口出しすることじゃないってこと、分かっていた。





一馬はあたしを見た。

そして、「大丈夫」とだけ答えた。

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