Chain〜切れない鎖〜
ともだち
帰りも黒いバイクで帰った。

物思いに耽っているあたしは騒ぐ気力もなく、黙って一馬にしがみついていた。




あれほど怖いと思った一馬の運転。

それでも、あたしが大人しくしていれば、安心感さえ感じた。





少しもぶれない重心。
安定した速度。

全て一馬の長年の経験から来ているのかもしれないと思った。






今の一馬がいるのも、昔の一馬がいたから。

昔の一馬がいたのは、神原さんがいたから。



そんな思いが堂々巡りしていた。

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