Chain〜切れない鎖〜
「一馬なら大丈夫。
もう、辛い思いしないよね?」

確認のために聞いてみる。

一馬はあたしを見たまま頷いた。



「誰も、傷つけたくねぇ」
そう発せられた言葉は、一馬自身への戒めのようにさえ感じた。





あたしは信じるよ。
一番辛いのは一馬だから。

あたしが出来ることはただ一馬の側にいることだけ。


それでも、一馬が少しでも安心出来ればいいと思った。









手を握った。

身体に腕を回した。

熱い体温を感じながら、唇を重ねた。

首筋に柔らかい唇の感覚が伝う。



あたし、これだけでおかしくなりそう。
また、狂わされそう。

< 258 / 306 >

この作品をシェア

pagetop