Chain〜切れない鎖〜
いつもと同じように二人で歩いて登校する。

いつの間にか秋が近付き、吹き抜ける風が涼しさを増していた。




一馬と親しくなってもうすぐ半年。
色んなことがあったけど、あたしにとってはいいことばっかりだった。

だからこれから起こることも上手くいくような気がしていたんだ。







教室に入るなり、華が怪訝な顔で一馬を見ていた。

昔の一馬に見えたのかもしれない。




学園祭の一件があってから、華はまた一馬と距離をおくようになっていた。

一時は二人の溝も完全に埋まるものだと思っていたけど、そう簡単にはいかないようだ。
一度負った傷は深い。



一馬も何となく察しているようで、敢えて華に近付こうとはしなかった。

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