Chain〜切れない鎖〜
どのくらい走ったのだろう。


十分にも、一時間にも思えた。





一馬の運転は始終穏やか。
あたしというお荷物を抱えているからかもしれない。

でも、その心遣いが嬉しかった。








やっとバイクが停まった場所は、古びた喫茶店のようだった。

白い建物。
所々蔦が伸びている。
そして駐車場になっている一階部分には、たくさんのバイクが無造作に置かれていた。

ハンドルが変な方向に曲がったいかついバイクたち。
それだけがこの喫茶店の持ち主の存在を誇示しているかのようだった。

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