Chain〜切れない鎖〜
無言で階段を上る一馬に続く。

心臓が、足音と連携したようにドクドク鳴っていた。





ここは不良のアジト。

あたしが大嫌いな人種、不良の。



あたしを見て、みんなは笑うんかな。

「だせー女」なんて言うんかな。




それって一馬の面子潰れちゃうね。








「…ごめん」

思わず口にしていた。

あたしの声が、しーんとした空気の中で響いていた。



一馬が足を止める。
片足を一歩上の段にかけた状態で、ゆっくりと振り返った。

茶色の髪がさらっと揺れて、どきんとした。

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