Chain〜切れない鎖〜
「東條も女なんだな」

帰り道にやっと一馬が言葉を発する。



華と三人でいるときは決まって一馬は無口。

華に気を遣っているのかもしれないし、あたしと二人の時だけ心を開いてくれるのかもしれない。

いずれにせよ、あたしと二人になった瞬間に、緊張の糸が解けるといった感じだった。





「華を馬鹿にしてんの?」

そう言って一馬を睨むと、

「あいつはオカマかと思った」

と言って笑っていた。





一馬の思考はよく分からない。

単に頭が良すぎるのかもしれないが。

ただ、「東條は大事だが、恋愛感情はないぞ」と言っているように思えて笑いが込み上げてきた。


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