Chain〜切れない鎖〜
「あいつは同じ中学校だった」

「え?」

「東條」

「あぁ…」

「あいつには迷惑かけた」

「なんで?」


あたしの問いに一馬が答えてくれることは、やっぱりなかった。
それでも一馬はふっと笑った。
あたしの想像より遥かに素敵な笑顔で、あたしの脳幹が麻痺した。

やっぱり一馬はこんな風に笑えるんだ。
そう知って、すごく嬉しかった。



「もう誰にも迷惑かけねぇ」

一馬はそう呟いた。

それはあたしに言うより、むしろ自分自身に言い聞かせているようだった。
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