Chain〜切れない鎖〜
昔、一馬に何があったのか知らない。
だけど、その前向きな姿に心を打たれた。
あたしみたいに過去を引きずっていない。
そう見える一馬はかっこよかった。




「あたしも一馬みたいになりたい」

思わずそう言ってしまったあたしを見て、一馬はまた少し笑った。

一馬の笑顔はあたしの心の氷を融かす太陽みたいに温かい。
胸がきゅんと痛んで息が苦しくなる。
まさに恋の病の状態に陥れる。
もっと笑顔が見たい。笑って欲しい。
その一心だった。



「一馬ってかっこいい」

「は?」

「超超超超かっこいい」

「…喧嘩売ってんのかよ」

おだてれば笑うんじゃないかというあたしの期待を見事に裏切る一馬。
少し面倒そうにあたしに言葉を返した。
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