Chain〜切れない鎖〜
必死で天に祈った。



どうか一馬だけは…





それでもあたしの祈りは無駄に終わり、不良たちは一馬に向かって猛突進を始めた。
スローモーションのように、一コマ一コマ止まって見える。
ストップボタンを押して、この嫌な映像を消してしまいたかった。



やがて不良たちは無防備に立ち尽くす一馬目掛けて腕を振り上げた。
握り拳を作り、風を切る勢いで降り下ろす。
その筋肉のついた腕が、鉄拳の強さを物語っていた。



「やめてぇぇぇ!」

叫んだ。
声の限り。

何としても、一馬を助けたかった。

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