Chain〜切れない鎖〜
「ねぇ、一馬。
どうしたら強くなれるの?」

「…タマ蹴れ」

「は?」

「次はタマ蹴って逃げろ」


端正な顔して。
アイドルみたいな顔して。
一馬の言うことは滅茶苦茶だ。

本気で言ってるのかどうかは、本人にしか分からないに違いない。



「あんた、バカじゃない?」

そう言ってあたしは大笑いした。
こんなに笑うの久しぶりだというくらい。





不良にタカられても、一馬は引かなかった。
むしろあたしの味方をしてくれた。
その事実が何よりも嬉しかった。


笑いながら一馬を見上げると、一馬も笑っていた。
心から楽しんでいるようなその笑顔に、ますます胸がドキドキした。
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