Chain〜切れない鎖〜
あたしの家は、繁華街から歩いて数十分の住宅街にある。
家に着くまで、さっきまでは喋るのも一苦労だった一馬と色んな話をした。

大体が他愛もないバカな話。
お互いをバカだとか頭悪いなんてけなして笑っていた。

一馬との距離がぐーんと近くなった。
それが嬉しかった。




「お前の家、うらやましい」

家の前に着くなり一馬が言う。


住宅街の普通の家。
小さくて、敷地目一杯に建っている。
どう見たって他の家と何も違わない。
あたしには、何がうらやましいのか分からなかった。

家の中からビーフシチューの匂いがする。
お母さんがいつものようにご飯を作ってくれてるんだ。
< 51 / 306 >

この作品をシェア

pagetop