Chain〜切れない鎖〜
「一馬の家は?」

「下宿」

一馬はそう答えただけだった。


あたしの学校は全国でも有名な進学校。
遠方から下宿して通う人もいっぱいいる。
だから、一馬もそういう人なんだと思った。



「下宿だと、家庭が恋しくなるよねぇ〜。
分かるよ」

「お前には分かんねぇよ」

一馬は少し笑いながらそう言った。






うん。

あたしには分かっていなかったんだ。
一馬がどんな道を歩いてきたかなんて。

あたしは幸せボケしていた。
だから、幸せなことを幸せだとは思えなかったんだ。

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