Chain〜切れない鎖〜
校庭の端には大きな桜の木が植えてあった。
あたしが四人くらい手を繋いだらやっと一周出来る幹。
硬い地面に深々と根を巡らせ、枝には鮮やかな花を咲かせていた。
その堂々とした姿があまりにも綺麗で、思わず立ち止まって見上げた。
傾く太陽の中、桜の花びらが舞い散ってすごく綺麗。
心が癒される思いだった。




「ずっと、好きでした」

声が聞こえ、ビクッとなる。

「あたしと、付き合ってください」



これってもしかして…


もしかしなくても。




あたし、こんな所にいたら、盗み聞きしてるみたいじゃん。

余りのタイミングの悪さにびっくりして、この場を離れようとした。
そして、あたしの存在に気付いていないことを確かめるために後ろを振り返った。
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