Ｃｈａｉｎ〜切れない鎖〜

「何泣いてんだよ」

突然聞こえた声にびくっとする。

もう既にあの可愛い女の子はいなくて、あたしの前には一馬のにんまりした顔があった。
しゃがんで泣いているあたしの前にかがみこんで、あたしの顔を覗きこんでいる。
あまりにも突然で声が出なかった。



「またいじめられたのか？」


わざとでしょ。
何で泣いてるか、一馬なら分かるでしょ。
頭いいんだからさ。


涙でぐしゃぐしゃの顔で一馬を睨む。
あたしはこんなに酷い顔なのに、相変わらず一馬はかっこよくて余計に悲しくなった。

『あたしとは釣り合わない』という思いが、呪縛のようにあたしを苦しめた。