Chain〜切れない鎖〜
「良かったよ。
一馬のこと分かって」
帰り道、あたしがそう言うと、一馬は黙ってあたしの手を握ってくれた。
温かくて、幸せで、思わず笑ってしまった。
一馬見上げる。
あの写真とは全然違う、穏やかな一馬。
しかし、そのふわふわの髪から覗く左耳には、いまだに消えない確かな穴があった。
「辛かったんだね。頑張ったね。…一馬」
そっと一馬に囁いた。
こうやってあたしたちは始まった。
お互いの過去を認め合い、今のお互いを見つめあった。
釣り合わない。
それは今も思うことだけど、きっと釣り合う人になってみせる。
人間って変われるんだから。
幸せいっぱいのあたしは、これから降りかかる災難なんて、何一つ予想していなかった。
蝶が舞う、五月のことだった。
一馬のこと分かって」
帰り道、あたしがそう言うと、一馬は黙ってあたしの手を握ってくれた。
温かくて、幸せで、思わず笑ってしまった。
一馬見上げる。
あの写真とは全然違う、穏やかな一馬。
しかし、そのふわふわの髪から覗く左耳には、いまだに消えない確かな穴があった。
「辛かったんだね。頑張ったね。…一馬」
そっと一馬に囁いた。
こうやってあたしたちは始まった。
お互いの過去を認め合い、今のお互いを見つめあった。
釣り合わない。
それは今も思うことだけど、きっと釣り合う人になってみせる。
人間って変われるんだから。
幸せいっぱいのあたしは、これから降りかかる災難なんて、何一つ予想していなかった。
蝶が舞う、五月のことだった。