Chain〜切れない鎖〜
だが、私の心配はさらに大きいものとなった。

羊の革を被った桜井君と同じクラスになってしまったのだ。

誰一人奴の正体に気付かない。
その事実が酷く恐ろしかった。




特に桜井君の隣の席の芽衣。
傍目からも明らかなほど、桜井君に興味を抱いている。

芽衣は純粋な女の子。
そんな芽衣が奴の毒牙にかかるなんて、考えたくもなかった。
だから私は芽衣に近付いた。



「一馬と帰ったんだ」

なんて芽衣が言った際には心臓止まるかもと思った。

桜井君の機嫌を損ねたら、一貫の終わりなのに。

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