Chain〜切れない鎖〜
あたしたちは全力で走った。

後ろが騒がしかったが、逃げるのに夢中で振り返ることすら出来なかった。
あいつらの恐怖の声が夕闇の中、こだましていた。



こんなこと、初めてだった。
あいつらから逃げられることがあるなんて。

だからあたしは無我夢中で走った。
しかと掴んだチャンスを離さないように。






やがてあいつらの声が聞こえなくなり、綾は走るのを止めた。


どう見ても普通の女の子。
こんな綾があいつらを止めれるはずがない。


「何がおこったの?」

そう聞こうと口を開きかけた時、綾の声が聞こえた。



「隼人たちが助けてくれた」

「…え?」

「隼人と、かずくんと」


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