Chain〜切れない鎖〜
しかし桜井君は怒っていなかった。

「悪かった」

私を真っ直ぐ見て、そう言った。



正直驚いた。
桜井君のこんな顔、見たことなかった。
いつも眉間を歪ませ、人を睨んでいたのに。


「昨日のこと。
それと…今までのこと」

桜井君は続ける。





「悪かった」一言で許せるはずがない。
私の負った傷は深いんだから。
桜井君なんかに分かるはずない。

だから私は何も答えなかった。
でも、桜井君を信じてもいいかもと思った。
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