Chain〜切れない鎖〜


「芽衣!」



一馬の声がはっきり聞こえて、あたしは目を開けた。



やっぱりあたしは倉庫にいる。
身体を動かすと、お腹が痛んだ。

やっぱりあたしの周りにはあいつらがいて、ニヤニヤ笑顔で笑っている。
見たくもない。
吐き気がする。




そして半開きの倉庫の扉の向こうには…

息を切らして肩で呼吸する一馬がいた。
焦げ茶の髪が光を浴びて、キラキラ輝いていた。





何が起こっているのか理解するのに数秒かかった。

あたしは昔のようにあいつらに捕まえられ、…一馬が助けに来てくれたんだ。
その事実がすごく嬉しくて、怖いなんて気持ちが吹っ飛んでしまった。
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