時と種族を越えて

由紀音「莢、今までのこの地の巫女って、何をしてきたの?」


莢「………それは、私が話す事ではなく、貴女が思い出すこと。」


莢が、一瞬、考えた後に言った。


由紀音「お願い、教えて。」

莢「………わかりました。」

莢が、微かに苦笑した。



莢「この零藍の地の巫女は、この地の守り神である女神の転生です。」

莢は、静かに目を閉じ、開いた。


莢「私も、白守様と一緒に女神様に仕えていました。もう、何千年も昔の出来事です。」

えっ?
女神の転生?
莢と白守が、女神に仕えていた?
白守って、守護神じゃないの?


次々と、疑問が私の頭に浮かんできた。



莢「遥か昔のある日、女神様は、人間に転生されました。私と白守に、神としてではなく、人としてこの零藍の地を守りたいと言い残して。それ以後、女神様の転生は巫女と呼ばれています。」



莢は、珍しく寂しげに微笑んだ。


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