時と種族を越えて
真紀「ねぇ、私が戦う力を持っていない理由は、なんだと思う?」


………
治癒能力しか持っていないから?


私と綾香は、再び首を傾げた。



真紀「私は、零藍を知っているわ。」


零藍………
私の女神だった頃の呼び名だ………

そう言えば………
戦う力を持たない、女神が居た………
人々の心と身体を癒す女神が………

彼女の名前は………


由紀音「紗理奈なの?」

私の言葉に、綾香が怪訝そうな表情を浮かべた。

綾香「紗理奈って、誰なの?」


真紀「私の過去世の名。私が癒しの女神として生きていた頃の。」

真紀の言葉に、綾香が溜め息を吐いた。


綾香「そういう、大切な事は秘密にしないでくれる?」

真紀は、苦笑した。


真紀「話すのは、危険だったの。私は戦う力が無いから。」

女神の力が、邪悪な妖怪の手に渡れば、この世界が破滅する危険すらある。
今まで、自分の正体を隠してきた真紀の判断は正しい。



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