時と種族を越えて

祠の封印と白狐

今、私達――私と白守と綾香と真紀――は、山の麓に居る。


真紀「この山に、白雷がいるの?」

白守「確かにいる。」

綾香「行きましょ。夜になる前に、帰らなきゃいけないんだから。」


私達は、無言で山を登り始めた。

森が騒がしい。


綾香「由紀音と真紀は、この藪で擦り傷一つ出来ないのね。羨ましいわ。」


私と真紀は、苦笑した。
白守も苦笑している。


綾香「女神って便利ね。植物が道を空けてくれるなんて。」


由紀音「植物が道を空けているのは、真紀に対してだけなんだけど………」

由紀音が、苦笑しながら言った。
真紀の身体に宿っているのは、癒しの女神紗理奈の魂。
自然界の常の存在は、自分達を癒してくれる彼女を傷付けない。


綾香「じゃあ、どうして由紀音は、擦り傷が出来ないのよ?」

由紀音「結界よ。」

綾香が、良く見てみると由紀音の身体を薄い水色の膜が覆っていた。


綾香「えっ?女神は、気の質も変えられるの?」

由紀音「えっ?」

私は、一瞬、綾香の言葉の意味が分からずキョトンとした。
が、直ぐに言いたい事が分かり、苦笑した。


由紀音「あぁ、これは宮下由紀音の霊気。神気は抑えているだけ。」


綾香「成る程。」


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