時と種族を越えて
由紀音「無理よ。」

私が、綾香の意見を即座に否定した。

由紀音「白狐や座敷わらしは、西洋で言う天使のような存在。魔界には、行けないわ。危険過ぎる。」


綾香が、俯く。



真紀「由紀音、私、天界で五行神と会ってくる。」

由紀音「私が行くわ。この地の守護女神は私。真紀は、巻き込めない。」

真紀「もう、巻き込まれたわよ。それに、邪神が狙っているのは私もなのよ。」


真紀が、真っ直ぐ私を見つめて言った。
反論はさせない、真紀の瞳がそう言っている。


由紀音「はぁ、わかったわ。好きにして。」


由紀音が、溜め息を吐きながら言った。


綾香「私も、行っていいかな?」

由紀音「無理よ。」

真紀「天界に、天命を持つ存在が入る事は禁じられているわ。」


綾香「……貴女達には、天命が無いの?」

綾香の言葉に私達は苦笑した。


由紀音「あるけど……無いようなもの。」

綾香が、首を傾げる。


私と真紀は、顔を見合わせて苦笑した。



私達は、天命を知っている。
だけど、それは所詮生きる現世に留まる事を許される期間。
何時までに死ぬかであって、いつ死ぬかではない。
それは、前世で自ら決めたもの。
女神の生死を他の女神が決めることは出来ない。



その後、綾香、真紀、白雷は帰って行った。



女神の魂を宿す者end
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