流星群にお願い
流星群というからには、シャワーのようにしゅんしゅん、とたくさん降ってくるものだと思っていましたが、どうやら違うようです。

「早く流れろやー」

「敬語つかいなさいよ、敬語」

「流れてくださーい」

そんな2人の会話を聞きながらオリオン座付近を眺めている時でした。

一瞬です。
本当に、一瞬です。

あ、と思った瞬間には、その闇を切り裂くような青い光は消えてしまいました。

「な、流れた!」

私は振り返り、3人の顔をみます。

「見た!俺も見た!」

あの凛々しい眉毛がゆるいアーチの形になるのが見えました。

「一瞬だったわね」

赤い口紅のたっぷり塗られた唇がふんわりと柔らかい曲線を描きます。

「見れなかったぁ…」

男の子が今にも泣きそうな顔をするので、どうしていいかわからず、毛布の中へ入れてあげることにしました。

「わーい」

男の子は嬉しそうに毛布に包まります。
すると、俺も、私も、と2人も入ってくるではありませんか。

それはもう窮屈でした。
しかし、とても暖かく感じ、私はこぼれた笑顔をそのままに、空を見上げました。


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