ノン・レス
普段は
明るくて
おしゃべりなだけに
何か
大事な話があるのかなって
感じた
「歩きながら、話そう
ついでに
家まで送るよ
もう遅いし、
暗くて危ないからさ」
そう
真剣な面持ちで言われて
断る事もできず
わたしたちは
改札を出て
並んで歩き出した
話がある、って
言われたのに
わたしの家の近くまで来ても
山口君は
黙ったままだ
わたしは
何度かチャンスがあったのに
なかなか気持ちを伝えられなかった
自分の過去を
思い出していた