ノン・レス
「今でも、
アイツのこと好きかもしれないけど、
オレとのこと、
考えといてくれる?
とりあえず
考えとくだけでいいから」
そういって
わたしの返事を待たずに
山口君は
駅に戻る方向へ
歩き出した
わたしは
ドキドキしながら
階段を昇り
部屋に入った
扉を閉じて
鍵を閉めた
そのとたんに
バッグの中で
ケータイが鳴った
メール、もちろん、山口君からだ。
『さっきはありがと。
返事は今度
飲みながらでも』
開いたメールを何度か読み返しながら
久しぶりに会った、あなたの顔がよぎった
あなたと私は、昔とまったく距離感が変わらず、
いつまでも遠いまま…縮まらないよね。